エル・プレシオサウリオ
ブエノスアイレスの動物園の園長が、探検家の怪物話を、タイムズ紙などの各新聞に発表したところ、たちまち、世界中で大反響を呼んだ。
1922年のことである。
それは、パタゴニアのチリ国境に近いエスケル山中の湖での遭遇だった。
湖の周辺に残っていたのは、大きな動物が、からだをひきずり、移動していった痕跡だった。
その痕跡をたどってみると、湖で消えていたのである。
彼は、その湖をよく観察してみた。
すると、なんと湖の中央に白鳥のような長い首をした、体長4mほどの、ワニのような胴体を持つ怪物を発見した。
ブエノスアイレスの町では、エル・プレシオサウリオと呼び、アルゼンチンの政治家は、首長竜の絵を選挙の旗印にし、怪物を仕留めたら皮の一片をニューヨーク自然史博物館へ、寄贈するとまで、言ったのである。