「さあ、道が2つに別れたね。どっちに行ったら家に着くと思う?」
私は迷いました。皆目検討がつきません。
「ここにタマムシがいるじゃろ。山のなかでは、タマムシは道案内をしてくれる虫なんじゃ。」
タマムシの道案内!!
私はその言葉を聞いて驚き、嬉しくなり、タマムシの飛んでいったあたりに駆け寄りました。すると今度は左の道に飛んで行くではありませんか!
「こっちだ!」虹色のタマムシ色が、キラキラと輝いています。
タマムシが飛んだ左の道に進んで行くと、タマムシはまた、数メートル先まで飛んで行きます。
その先も道は別れ、そのたびにタマムシのあとをついていきました。
そうやって歩いていると道の先がしだいに開け、空が広がってきました。
そして、山を抜け人里に出てたのです。
「タマムシはなぜか、人里の匂いに惹かれて、行くんじゃ。覚えておきんさい。」
山の道案内便りになる虫。
山で育ったおじいちゃんは、タマムシの不思議な習性が分かっていたんですね。
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